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考案者・ユッカー
バウムテストは1928年頃、エミール・ユッカーによって考案されました。
当時ユッカーはスイス・チューリッヒで職業カウウンセラーに従事しており、職業選択の診断(職業適性検査)の一つとしてバウムテストを行っていました。
ユッカーが長年、「文化の歴史や神話の歴史を研究し生み出したもの」がバウムテストです。
ユッカーのバウムテストの解釈は、彼の経験からくる直観的な方法によるものでした。
バウムテストの創始者であるにもかかわらず、ユッカーの知名度は高くありません。
それはユッカーの方法が当時、完全に確立されていなかったことが原因です。ユッカーは著書を残さなかったことも、一因となっています。
方法論を確立したコッホ
バウムテストと言えばカール・コッホです。
直観的だったユッカーの解釈を客観的な心理検査として理論構成したことがコッホの功績です。
バウムテストを汎用性の高い技法として体系化した立役者と言えるでしょう。
ドイツ語原書の初版発行は1949年のことです。わずか88ページでした。その後の1952年に英語版が発行されましたが、誤訳が多いものでした。
第2版は1954年に大改訂され全239ページにボリュームアップされました。コッホは「グリュンワルドの空間図式」を導入。
これにより解釈の理論が大幅にアップしました。
第3版は1957年に発行されましたが、コッホは翌1958年に急死しました。
コッホの業績は大きいですが、解釈の内容が曖昧な点が多く悩まされます(泣)
それ故に、現代のバウムテストの解釈は必ずしもコッホの解釈を踏襲したものばかりではありません。
コッホはバウムテストの解釈において、筆跡学を取り入れています。
線の幅や筆圧、描き順も見るべき要素に加えました。
この筆跡学の観点は現代でも、多くの研究者に支持されています。
コッホは描かれた木を形態的に分類。それに心理学的な意味をつけました。
そして空間図式を援用しながら、「どこが強調されているのか?」という観点から心理的な意味を考えました。
ストラ
ルネ・ストラ(フランス)はコッホと同時期にバウムテストの研究を行っていた女性です。
コッホが注目されがちなバウムテストですが、ストラの功績も大きいことを忘れてはいけません。
コッホの著書は英語・日本語・ポルトガル語・スペイン語に翻訳され、広まりました。
一方ストラの著書はフランス語圏内のみ。コッホのように英語や日本語にも翻訳されていれば、彼女の功績はもっと高く評価されていたことでしょう。
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