バウムテストを実施するうえで注意すべきこと・理解しておくこと

バウムテストの注意点
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バウムテストを実施するにあたり、いくつかの注意事項があります。

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テスト結果だけで判断しないこと

バウムテストで被験者のすべてが把握できるわけではありません。

被験者はバウムを描くとき、少なからず動揺するものです。

・知られたくないことまで知られるんじゃないか?
・結果によっては厳しいことを言われるんじゃないか?

などです。

被験者はバウムテストを解釈する者が、自分の描いたバウムをどのように受け取るかを多少なりとも考えたうえで描きます。

そのような心の動きが影響して、1枚の絵が完成するものなのです。

つまり描かれたバウムは、被験者のパーソナリティを100%表現したものではありません。
したがってバウムテストを解釈する際は、さまざまな視点を考慮する必要があります。

描かれたバウムをもとにカウンセリング等を言葉で伝えることは、【危険】な行為とも言えます。

被験者をよく理解するためには、バウムテストの所見のほか複数の情報(面接・質問紙・投影法テストなど)と付き合わせる必要があります。

サインを正確に読み取れたとしても、被験者が抱えるいろいろな問題や環境に関する情報がなければ正しい診断は決してできません。

バウムテストは投影法の一種です。
反応の自由度が高いので様々な個人差が表れやすく、無意識の側面を明らかにするには効果的と言えるでしょう。

しかし一方で、反応が多様であるために客観的な評価が難しいという問題点があります。適切な解釈、診断には診断者の熟練度が影響、変動するのは言うまでもありません。

全体的評価が大切

さまざまな視点でバウムを解釈するために必要なこと。

それは「木を見て森を見ず」にならないことです。
描き終わったバウムをいきなり細かく見るのは危険です。

  1. 全体的な印象を得る
  2. 各部分を細かく見ていく
  3. 欠落している部分、強調されている部分を確認する

全体を眺めたときの印象は重要です。

この印象把握は診断者の経験によって変わります。
あなたが描いたバウムを見て

診断者A:以前にも似たような絵を見たことがある。
診断者B:こんな奇特な絵は見たことがない。

と印象がガラリと異なります。

注目するサインも診断者によって異なることがあります。
しかしこの印象把握から分析を始める以上、印象把握は大変重要です。

全体を見て気になる点を見つけたら書きとめておきましょう。

このほかバウムテストに対して懐疑的だったり、非協力的な被験者がいることも忘れてはなりません。

テスト方法を伝える(教示)時点でそのような傾向がないかを見抜くことも大切です。
もちろんバウムテストの知識がある人に対して実施しても、正確な所見が得られないのは明白です。

確立されていない方法・解釈

バウムテストを難解なものにしている理由に、研究者によって教示が異なっている点があげられます。

「木を1本描いてください。」と言われる場合もあれば、
「3本描いてください。」と言われることも。

心療内科等を初診で受診した場合、診察前に描くことを求められることが多いでしょう。
このような時間的に余裕がない場合に3本の木を描くことは容易ではありません。
時間や周囲の視線を感じるあまり、適当に描かれてしまっては本末転倒です。

特段の理由がない限り描く木は1本(用紙1枚)が良いでしょう。

以下は主な研究者の教示です。
・コッホ:実のなる1本の木を描いてください。

・ストラ:①モミの木以外の木を描いてください。②モミの木以外の木を描いてください。③夢の木、空想の木を描いてください。④目を閉じて描いてください。(4枚描かせる)

・ボーランダー:木を1本描いてください。

・カスティーラ:①木を描いて下さい。②もう1枚木を描いて下さい。③夢の木を描いてください。(3枚描かせる)

教示

バウムテストの第一人者であるコッホの教示は、
「実のなる1本の木を描いてください」
です。

つまり果樹の絵を描くように求めたのです。
これはコッホが被験者に落葉樹の木を描いてほしいがために使用した教示です。

落葉樹の意味がわからない被験者もいるので、わかりやすく「実のなる木」と言い換えたわけです。

しかし果実は特殊サインのひとつに該当するため、最近は
「1本の木を描いてください」
という教示が一般的になってきました。

木を描くと言っても「モミの木以外の木」を描くことを教示する場合もあります。
ストラは「学校の授業でモミの木を描かせることが多いから」と述べています。

日本ではどうでしょうか?
学校教育でモミの木を描かせることは稀なような気がします。

特に「モミの木以外の木」と教示する必要はないでしょう。あくまでも自由に描いてもらえばよいでしょう。

周囲の環境に注意すること

バウムテストを実施する際、
・同じ空間に観葉植物等はありませんか?
・窓の外に街路樹等が見えていませんか?

実際にある木や植物を写生してしまう被験者がいます。
もちろんこれではテストの意味がありません。

バウムテストを実施する環境に配慮してください。
教室などで実施する場合は、カーテンをするのが望ましいでしょう。

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